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Nakamichi 1000ZXLメンテナンス(完結編)

先日ウッドケースが仕上がってきた1000ZXLの修理レポです。
 
 
これまでに判明している不具合は以下の点です。
 
・巻き戻しボタンランプ切れ
・メーターの動作不良(入力に対して反応無し)
・設定保存用電池ボックス破損
・再生音出ない。
 
1.巻き戻しボタンランプ切れ
 
フロントパネルを取り外し後、切れている12Vムギ球を新品部品に交換しました。
 
2.メーター動作不良
 
電源を確認し正常電圧だったので、入力から信号を追っていきます。
カウンターICの出力が変です。
クロックを確認しようとオシロプローブをあてるとメーターバーが振れ出しました。
クロック伝送経路の不整合で波形が暴れているのが原因か?
終端する目的で抵抗を追加しました。
送り出し側では一見波形は正常なので、受け側の問題としてカウンタIC不良が考えれますがICのストックが無いので今回はこの処置としておきます。
 
3.電池ボックス破損
 
 
 
オートチューニング(ABLE)のデータバックアップ用電池ボックスの電池ケースが割れて電極が接触しなくなっているのと電極(スプリング)の腐食しているので対処しました。
 
 
電池ボックスのオリジナルは白ですが、黒の方がマッチすると思いますので変更しました。ちなみに電池ボックスはハトメ(3x3)で固定されているのですが、100個入りでしか購入できなかったです。(そんなに数は必要ないのに)
 
4.再生できない
 
再生ヘッドの出力をデュアルFETで受けてオペアンプで差動出力することでトランジスタのノイズをキャンセルしています。この部分オフセットがずれることで出力されなくなることが多いです。停止状態で±50mV以内に調整。
今回もこのオフセット調整を再度行うことで一応出力されるようにはなりました。この半固定抵抗は調整範囲が適正では無いですね。多回転タイプか半分の100Ωでないと調整がシビア過ぎるし、動いてしまいますね。
その他今後を見越して、オレンジキャップと呼ばれるPPコンデンサ及び電解コンデンサを交換しました。取り外したコンデンサは全て容量チェックしましたが、特別低下しているものは無かったです。
 
 
 
何とか再生できるようになりましたので、この状態で一度サービスマニュアルに基づいて再生関連部分の調整を実施後、自動調整であるABLE及び録音動作をチェックします。
 
ABLEは最初のBIAS調整時でエラーになります。
またこのまま録音再生するとL側が歪みます。入力レベルを下げても変わりません。
こういう時にオートしか無いと原因が特定しづらいですね。(汗)
 
仕方が無いので可能性の高い順に潰していきます。
 
・PPコンデンサの劣化(容量低下、ショートモード)
トランジスタ劣化(hfe低下、ノイズ増大)
・ケミコンの劣化(容量低下、ショートモード)
・ハンダ割れ
 
などが原因として想定されましたがカップリングコンデンサの劣化(ショートモード)が原因でした。
 
録音時の歪みが無事に解消されましたので、改めてサービスマニュアルに基づいて調整していきます。(ABLEを含めて)
 
バイアスカレント調整でフルビット時、規定のレベル(80mVrms)に届きません。
ラダー抵抗とオペアンプを使ったD/A変換後のコンプリで電流増幅してますが、後段のトランジスタ劣化の方が可能性が高いかな。
 
取り外してhfeを測定すると規格値の半分以下になっていましたので交換、規定レベルに調整できました。
 
その他の調整も無事に完了し、ABLE動作もエラー無く終わるようになりました。
 
いつものソースを録音再生し、問題無かったので終わりかと思ったのですが問屋が卸しませんでした。。。
 
外部ノイズリダクションとして、ドルビーCユニットを接続して動作させると録音再生で10dB以上低下します。スルー及び内臓のドルビーBでは問題ありません。
ドルビーCユニットの故障か?
 
別のユニットに接続してチェックしても結果は同じなので、デッキ側の問題です。
オシロスコープでリレー端子をチェックするとリレー前後で波形が小さくなっています。
劣化により接触抵抗が大きくなっているのでしょう。
アンプの出力リレーなら接点を磨く場合もありですが、この小信号のリレーは磨くのは難しそうですので接点洗浄剤で対処してみましたが、改善せず。
 
交換しかありませんね。
 
[下が9V版の良品]
 
このリレーは製造中止且つピン配置が特殊で互換品がありません。
コイル駆動電圧12V版が使われていますが、コイル電圧9Vのタイプが入手出来ましたのでリレーと駆動トランジスタとの間に抵抗を追加して12Vで対応させます。
 
 
動作チェックします。
 
変わらず。いや、さらに悪くなっている。なぜ?
 
取り外してDC電源とテスターを使ってチェックします。
数百Ωの抵抗値です。本来なら1Ω以下であるはず。
他の手持ち分を全てチェックします。
5個中、良品と思しきものは1個だけでした。
考えるに、新品を入手したとはいえ、製造から時間経過していることから新品のまま接点が劣化したと考えられます。接点が外から見える取り外しが可能なカバー、つまり外気が入り込めるタイプのリレーは定期的に使わないと劣化すると。最近のリレーは密閉型がほとんどですからね。
 
良品の1個を交換してやっと動作OKとなりました。
今後を考えると、このリレーに変わる変換基板を使ったユニット製作も検討した方が良いでしょうね。
 
これまでのメンテで交換した部品です。
 
 
 
 
 
最後にいつものソースで試聴します。
相変わらず、ソースと比較しても違いがわからないけれどもほんの少しだけソースよりキラッとした出音です。