昨日は、電源不具合部分を修理して調整が出来るようになりましたので、続けて調整を実施しました。
ZX-5の前期型特有のアイドルホイールのゴムリング劣化による、早送り、再生時のテイクアップトルクが弱い現象が見られます。例によってメカ部を取り出してメンテします。
バックプレートを取り外して、アイドラホイールにアクセスします。
アイドラホイールのゴムですが、ゴムの弾性はあるものの表面がツルツルになっています。
今後の使用を考え、表面の対処では無くて今回は交換することにします。
さらに、キャプスタン軸とフライホイールとベルトをメンテします。
軸と軸受け部分はクリーニングとグリスアップ、フライホイールのベルトが掛かる部分は丁寧にクリーニング、ベルトはオリジナルベルトであり、伸びや変形など無くてまだ使えそうでしたのでS-721でクリーニングします。
メカ部分のメンテが完了しましたので、テープスピードの調整及びワウフラッタを確認します。
1.テープスピードの調整
2.メーターレベル調整
R側が低めでしたので規定に調整しました。
3.MPXフィルタ調整
19KHz、0dB入力時の規定が減衰量30dB以下に対して、28dBほどでしたので調整を行い
Left:33.0dB、Right:32.5dBとなりました。
4-5.再生ヘッド高さ、アジマス調整
高さについては、大分ずれていました。アジマスは少しずれていたので調整しました。
6.再生レベル調整
規定レベルに対して若干低めでしたので調整しました。
7.再生周波数特性調整
問題ないレベルでした。
8.バイアス周波数及び消去ヘッド電流調整
規定レベルより周波数が低めだったので、規定値105KHzに調整。
消去ヘッド電流が規定310mA~400mAのところ、高めでしたので規定内に調整しました。
9-10.録音アンプ EQ調整、バイアストラップ調整
規定レベルに調整しました。
11-12.録音ヘッド高さ、アジマス調整
再生ヘッドを調整していますので、それに合わせて調整実施しました。
13.録音レベル調整及びバイアス電流調整
メタルテープ:ナカミチZX、CO2テープ:SX、ノーマルテープ:EX2を使用し、規定の400Hzで0dB、15KHzで-20dBに調整しました。
14.その他
ピッチ調整及びバイアス調整ボリュームノブが内軸と外軸が剥離していたのでゴム系接着剤(Gクリア)で接着しました。
最後に総合評価として、歪み率と録音再生の周波数特性を測定します。
まず歪み率から
0.55%です。規定は0.9%以下ですからインスペックです。
続けて録音再生周波数特性です。
規定では20-20KHz±3dBですが、上は22KHzまで延びています。
ヘッドの状態を含めてきわめて良い状態であると思われます。
電源トラブルで不動となっていたZX-5ですが、ここに無事に復活を遂げました。
これから、オーナーの元で、良い音を聴かせてくれるでしょう。