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Nakamichi CR-70


 
久しぶりにデッキを入手しました。
それもCRシリーズ・トップのCR-70です。
これは、オクではDRAGONと人気を2分する機種なのです。
特徴としては、
・再生ヘッドのアジマスをマニュアル調整可能
・録音時にテープのレベル、バイアス、アジマスを自動調整
 
DRAGONと対比させると。DRAGONが再生ヘッドのアジマスを自動で調整してくれるのに対して
ユーザーが音を聞きながら調整するという点。
一方録音時のテープ調整はDRAGONは全て手動に対してこちらは自動という点です。
機能面の自動と手動がたすき掛けになっていて、お互いに棲み分けというか、うまいラインナップですね。
 
さて話をこのセットに戻します。
このセットですが、実は問題があったのです。
一応、動作品ということで入手したのですが、一時間後に全く動かなくなりました。(汗
 
症状としては、テープ操作キーの操作に対して反応無し。
電源を再投入すると、テープ操作キー部にあるインジケータが全て点灯するというまずい状態でした。
 
クレームをつけたいところですが、大人な対応で自分で修理することにしました。
 

「画像は清掃及び修理後
 
上部蓋を開けると埃とヤニでかなり汚れています。このセットは放熱対策で上下蓋共に電源部にあたる部分にパンチ穴があいています。これによって、保管状態が悪いと内部はこのようになるんですね。
今回は新たに入手した秘密兵器?のサンハヤトのハヤトール(ベタなネーミング)で基板の汚れを隅々まで徹底的に綺麗にしました。
 
内部が一通り綺麗になったところで、回路図を見ながら解析を進めます。
 
テープ操作キーからの信号はちゃんと制御ICに届いています。(キー入力系は白)
続いてコントロールモーター制御信号を見てみるとFF、REV共にL(アクティブL)になっていました。
正常状態では、両方ともHでモータ動作時にどちらか一方のみLになるはずです。
この状態だとコントロールモーター駆動電源が抵抗なし(トランジスタのオン抵抗だけ)でGNDに落ちた状態で、レギュレータが逝ってしまうでしょう。
 

「画像は交換後」
 
さて故障の大元のコントールモーターの制御信号がどちらもLになる原因を探します。
電源電圧、リセット信号、割り込み信号は正常です。
次にクロック信号はというと、発振していません。
制御ICの詳細動作は不明ですが、クロック信号無しの状態でこの制御信号はLになるという仕様なのでしょうね。
クロック発生はLC発振で行っているのでこれが原因でしょう。
Lに直列に入っているCをテスターで測ってみると40Kぐらいありました。Cの故障ですね。
コンデンサ交換が良いのですが、手持ちが無かったので別のデッキからコイルごと移植しました。
 

「画像は交換後」
 
交換後、波形、周波数(550Kz)を確認し、レギュレート用ドランジスタを同等品(2SD1164)と交換しました。
 
修理をしていて、気になって点がありました。
設定保存用と思われるボタン電池があるのですが、劣化により液漏れがあり基板にシミが付いています。
このまま放置は、まずいので交換するのですが、タブ付きの電池で基板に半田付けされています。
同じタイプに交換するのが正解なのでしょうが、次回交換時にまた半田付けするのでは能がないので
電池ホルダをつけることにします。廻りのスペースに余裕が無いので、一番小さいタイプを選択し、基板を2回建てして実装することにしました。(昔仕事で実装スペースを稼ぐのに、この手法は良く使いました)
オリジナルの基板は一切手は加えずに、元の穴にピンヘッダを経由してボタンホルダ追加基板をスタックしてあります。
 

 
修理が終わったところで、動作チェックを兼ねて試聴しました。
 
このセットのウリである、テープ自動調整を実施。
テープを入れて、オートキャリブレーションボタンを押すだけの簡単操作です。
アジマス調整、レベル調整、バイアス調整、2回目のレベル調整、2回目のバイアス調整が終わるとテープが戻ります。自己録再は、高音のキレが印象に残りました。
 
ZX系、DRAGON系のマニュアル調整も良いですが、オート調整もこれはこれでありですね。
今後は録音のメインとして使っていこうと思います。